💰 お金仙人の教え|家計簿編
第5話:その保険は必要?
〜 損失が大きいものにだけ備えよ 〜
仙人に言われた通り、先月から家計簿をつけてきた洸平。今日はいよいよ仙人に見せる日だ。 食費・光熱費・家賃……順調に見えたが、仙人の目は固定費の一点に止まった。
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📒 シーン① 家計簿チェック
洸平
仙人、つけてきました!食費・家賃・光熱費…なんとか黒字です。
お金仙人
ほほう、よくやった。……ん、待て。この固定費の欄を見せてみい。
お金仙人
保険料が毎月2万8千円……。洸平よ、今いくつ保険に入っておる?
洸平
えーと、4つです。死亡保険・医療保険・自転車保険・マンションの火災保険です。
お金仙人
……4つのうち2つはよい。だが残り2つは今すぐ解約せい。
洸平
え!?何がダメなんですか?
| 洸平の保険 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 死亡保険(積立式) | ❌ 不要 | 独身で扶養家族なし。積立型は手数料が高い |
| 民間の医療保険 | ❌ 不要 | 公的制度で大半はカバー可能 |
| 自転車保険(対人対物) | ✅ 必要 | 賠償が青天井になりうるリスク |
| マンション火災保険 | ✅ 必要 | 周囲への損害も発生する大きなリスク |
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📌 シーン② 保険の大原則
お金仙人
その前に、保険の本質をひとつ教えておこう。保険は何のためにあると思う?
洸平
万が一のときのため……ですよね?
お金仙人
そう。しかし”万が一”にも種類がある。保険が必要なのは——損失が大きすぎて、自分の貯蓄では到底カバーできないときだけじゃ。
💡 保険の大原則
車で人を跳ねたら賠償が数億円、火事で家が燃えたら数千万の損失。自力ではどうにもならないリスクに備えるのが保険の役割。
逆に、貯蓄で対処できる範囲のリスクには保険は不要。その分を貯めた方が確実にお得。
逆に、貯蓄で対処できる範囲のリスクには保険は不要。その分を貯めた方が確実にお得。
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💸 シーン③ 死亡保険(積立式)が不要な理由
お金仙人
まず死亡保険(積立式)じゃ。毎月1万2千円払っておるな。死亡時に500万もらえる、と。
洸平
はい。貯蓄にもなると聞いて入りました…。
お金仙人
洸平よ、お前は今独身じゃな?お前が死んで収入を失ったとき、誰が困る?
洸平
……誰も困らないですね。自分がいなくなるだけだから。
お金仙人
そうじゃ。生命保険は”自分の収入に頼って生きている人がいるとき”に初めて意味を持つ。家族も養う人もおらんのに、高い保険料を払う必要はない。
洸平
じゃあ将来結婚したら必要になりますか?
お金仙人
なるかもしれん。ただその場合も、この”積立型”はやめておけ。理由はふたつある。
積立型生命保険が不要な2つの理由
- 500万では足りない:配偶者と子供を養うなら、月々の生活費を何年分もカバーできる金額が必要。
- “積立”という言葉に騙されていか:満期で一部戻ってくるが、見えないところで手数料が引かれ続ける。コストの高い投資信託に保険をくっつけただけで、保険としても投資としても中途半端な商品。
お金仙人
同じ理由で、学資保険・養老保険のような”積立型”も全て同じ構造じゃ。子供のために貯めたいなら、低コストのインデックスファンドで積み立てる方がよほど効率がよい。
洸平
じゃあ将来、家族ができたときはどうすれば?
お金仙人
家族ができたら収入補償保険(掛け捨て・毎月給付型)を検討せい。死亡時に一括でドンと払われるのではなく、毎月一定額が支払われるタイプじゃ。遺族年金と配偶者の収入を足して、足りない分だけ補える金額にすればよい。
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🏥 シーン④ 民間の医療保険が不要な理由
お金仙人
次は民間の医療保険じゃ。毎月9千円払っておるな。先進医療特約もついておるとか。
洸平
はい!最新の治療も受けられるって聞いて…。
お金仙人
日本には国民皆保険という制度がある。世界的に見ても非常に充実した公的医療保険じゃ。さらに——高額療養費制度がある。どれだけ高額な医療費がかかっても、収入に応じて月の自己負担額に上限が設けられる制度じゃ。
洸平
それは知りませんでした…。
お金仙人
さらに会社員には傷病手当金もある。病気や怪我で仕事を休んでも、最大1年6ヶ月、給料の約3分の2が支給される制度じゃ。入院が長引いても、公的制度と手持ちの貯蓄で多くの場合は賄える。
日本の公的医療制度(会社員の場合)
- 国民皆保険:3割負担で医療を受けられる
- 高額療養費制度:月の自己負担に上限あり(収入により異なる)
- 傷病手当金:休職時に最大1年6ヶ月、給料の約2/3を支給
洸平
そう聞くと、民間保険ってあまり出番がない感じですね…。
お金仙人
そうじゃ。民間の医療保険はこの充実した公的制度を前提に設計されておる。だから保険料に見合うメリットが出にくい構造になっておる。
洸平
先進医療特約は?最新の治療が受けられるんじゃ…。
お金仙人
よく誤解されるが……先進医療特約は”最新の治る治療が受けられる”ものではない。正確には、まだ公的保険の承認を得ていない段階の治療を受けるときに、費用の一部を負担してくれるものじゃ。実際に使われる件数は極めて少ない。その保険料を毎月貯蓄に回した方が、いざというときに融通が利く。
洸平
知らないうちに損してたんですね…。
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✅ シーン⑤ 必要な保険を確認する
お金仙人
とはいえ、4つのうち2つはきちんとした判断じゃ。自転車保険と火災保険じゃな。
洸平
そっちは正解だったんですね!
お金仙人
自転車で人を傷つけてしまえば、数千万円の賠償になることもある。とても個人の貯蓄では払えん。火事も同様で、周囲への損害まで発生する。どちらも”損失が大きすぎて自力ではカバーできないリスク”——だから保険として正しいのじゃ。
洸平
原則に当てはめると、自分で判断できるんですね。
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📝 シーン⑥ 保険で間違えてはいけないこと
お金仙人
保険について3つだけ覚えておけ。
⚠️ 保険の3つの鉄則
1. 保険は投資にならない——どんなに”お金が戻ってくる”と謳われても、コストが高く資産は増えない。
2. 保険で儲けようとしない——保険料が戻ってきて得をした、などは本末転倒。
3. 損失が大きすぎるリスクだけに備える——小さなリスクは貯蓄で対処せい。
2. 保険で儲けようとしない——保険料が戻ってきて得をした、などは本末転倒。
3. 損失が大きすぎるリスクだけに備える——小さなリスクは貯蓄で対処せい。
洸平
保険は保険、投資は投資……ですね。
お金仙人
そうじゃ。死亡保険(積立式)と民間の医療保険——この2つを解約すれば、毎月2万1千円が浮く。年間25万円以上じゃ。その分を貯蓄と投資に回せば、5年後10年後にはまったく違う景色が見える。
洸平
……解約してきます!
お金仙人
うむ。保険会社の言葉ではなく、原則で考えよ。それだけじゃ。
📌 この話のまとめ
- 保険の目的は損失が大きすぎて自力でカバーできないリスクに備えること
- 死亡保険(積立式)は独身なら不要。積立型は手数料が高く投資にも保険にも中途半端
- 民間の医療保険は公的制度(高額療養費・傷病手当)があれば多くの場合不要
- 自転車の対人対物保険・火災保険は必要(自力でカバーできない損失リスク)
- 将来、家族ができたら収入補償保険(掛け捨て)を検討する
- 無駄な保険を解約し、その分を貯蓄ほ&��資へ回す
💡 保険の必要性を判断する公式
① 損失額を考える
「もし起きたら、自分の貯蓄で払えるか?」→ 払えない → 保険カ入る
→ 払える → 保険に入らず、その分を貯蓄へ
② 生命保険が必要かを考える(家族がいる場合)
必要な補償額 = 月の生活費 × 必要年数 − 遺族年金 − 配偶者収入→ 収入補償保険(掛け捨て)でシンプルに備える